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株式会社アースクリーン


2002年4月16日 集落排水情報

全国初・ディスポーザ対応型集排施設が供用開始
し渣は回収し消滅埼玉県秩父市の先駆的事例



全国で初めてディスポーザ排水の受け人れを前提に整備された農業集落排水処理施設がこの2月、埼玉県秩父市で運転を開始した。処理施設に特殊な前処理装置(し渣除去・消滅装置)を設置し固形分の多くを回収・消滅することにより、発生汚泥量の大幅な削減を図るとともに、各家庭にディスポーザを設けて集排施設で生ゴミを受け入れれば、家庭ゴミの回収・処分量の減少にもつながるという、一石二鳥の効果を狙ったもの、市には全12地区の集排整備計画があるが、今後の実施地区でも順次、ディスポーザの使用を前提とする同様のシステムを取り入れ、市全体の廃棄物発生量の抑制をめさしたい考えだ。 
(取材・文 山根和範)


 秩父市北部、荒川西岸の農業振興地域に位置する太田上地区(計画人口590人・戸数126戸)を対象として、市初の農業集落排水事業が平成8年度にスタート。初年度の設計業務を経て、9〜l3年度で管路施設、12-13年度で処理施設(JARUS-XIV型)をそれそれ施工して事業を完了。今年2月1日付けで正式な供用開始の公示を行ったところだ。処理施設本体の施工にあたったのはダイショウ(上木建築)、ユニチカ(機械設備)、共和電機(電気設備)、山武建設工業(外構)。そして、集排施設としては全国で初めて設置された「し渣除去・消滅装置」は昭和エンジニアリングが元請けとなって納入された。
 同装置は自動微細目スクリーンと微生物による酸化分解処理槽の組み合わせで構成されるシステム。処理施設に流人し荒目スクリーンで大きな來雑物が除かれた後の汚水は、さらに小さな固形物が同装置の微細目スクリーンによって「し渣」として取り除かれる。スクリーンの目幅は2mmで、これより微小な固形分だけが水処理槽に送られるため、汚濁負荷は「低減されるとともに余剰汚泥の発生量も大幅に減少する見通しだ。
 また、微細目スクリ一ンで除去されたし渣は白動的に消滅装置に投入され、バクテリアによる酸化分解反応で水と二酸化炭素に完全に分解される。同地区に備えられた消滅装置は、日量150〜200kgの有機物の処理が可能なタイプ、装置内.1内には微生物の棲み家となる担体が必要となるが、同地区ではモミガラを使用、今後1年間で使用が見込まれる120kg分を、地区内のライスセンターから貰い受けてすでに施設内に備蓄しており、このうち約30sを装置内に充填して運転を始めている、もちろん、特殊な操作は必要なく24時間自動運転(原水ポンプとスクリーンが連動)。
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 市は荒川西部の農業振興地域を対象に全12地区の農業集落排水整備を計画太田上地区は今後の事業展開のモデル的存在となるだけに、発生汚泥の処理・利用についても、農地還元を前提に慎重な検討を重ねた。しかし、有効な決定打は見いだせず、それに代わる低コストの処理処分方法を模索した結果、たどり着いたのが「最初から汚泥を発生させない」という考え方であった。
 平成12年秋、千葉市幕張で開催された「農林水産環境展2000」で、あるブースに展示された装置に市経済部農林課担当者の目が止まった。(株)アースクリーン(さいたま市、小川弘社長)の開発による「アースクリーンシステム」(生ゴミ粉砕液送分解消滅化システム)である。生ゴミを粉砕装置(ディスポーザ)に投入し、排水管を経て処理装置に搬送、スクリーンで固液分離後、固体分をバクテリアで分解・消滅するという、民間施設(病院、食品工場、学校食堂、ホテルなど)で数多くの実績を残している厨房向けトータルシステムだ。
 このシステムを集排処理施設の前段に組み込むことができれば、汚泥の発生量を抑制できるだけでなく、各家庭の台所にディスポーザを設置しても粉砕した生ゴミを集排施設で受け入れ処理することができる。それは同時に、家庭からの一般廃棄物の搬出量を削減し、ゴミの収集・処理処分コストの軽減にも繋がることになる。
 市農林課担当者は「アースクリーンシステム」がすでに稼動している三愛病院(埼玉)、三洋電機鞄結梵サ作所(群馬)、防衛大学校(神奈川)などを精力的に視察、自らの目でその実力を確かめ、「実に大きな可能性を秘めたシステム」との確信を得たという。直後、ただちに設計変更の手続きに移るとともに、県農林部局に事情を説明。国庫補助事業による整備を国に要望し、13年度の予算化を実現した。

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 現在、太田上地区で正式に接続している世帯は17戸(ほか70戸が確認申請中、4月8日時点)。まだ流入汚水量はほんのわずかであり、システム導入の具体的効果が明確に現れるのはかなり先になりそうだ。市では、今年夏ごろまでに9割程度まで接続率を引き上げたのち、約1年かけて処理機能の安定化を図りつつ、状況を見守りたい考え。また、着手済みの久那地区(11年度採択、1450人)をはじめ、未着手10地区でも同様のシステムを順次導入していく方針を固めてはいるものの、やはりまだ結果の見えないシステムだけに、「早く太田上地区で良い結果を出して確証を得たい」と本格稼動が待ち 遠しい様子だ。なお、当初の計画で見込まれていた太田上地区の維持管理費は年間約1000万円で、この半分にあたる約500万円が汚泥処理費(引き抜き後、し尿処理場への搬出)と見られていた。この部分をどれだけ圧縮できるかという点に、同システム導入の効果が数値となって現れることになる、ディスポーザの設置に関しては、地元管理組合が説明会を開催するなどして、住民も関心を寄せているが、まだ設置に踏み切った家庭はないという、市としても、住民の意志を優先する構えであり、特に積極的な働きかけは行っていない。しかし、各戸にディスポーザが備えられれば、ゴミ排出量・収集量の削減、台所環境の向上など、太田上地区のシステムの副次的メリットを最大限に発揮できるだけに、市担当者は「住民の皆さんから『なぜもっと早くPRしてくれなかったのか』と苦情を言われるようになれば理想的」と笑う。なお、ディスポーザを設置する際には、食品クズを微細目スクリーンでし清として除去できるよう、粗破砕タイプの製品を採用してもらえるよう協力を求めている。
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 全国で初めてディスポーザ排水に対応可能な集排施設として供用開始し、各方面の注目を集める太田上地区だが、それ以外にもさまざまな工夫や新技術が随所に盛り込まれており、市の集排担当者の前向きな姿勢と意気込みを伺い知ることができる。
 担当者が出向いた展示会で関心を抱き、同県内の集排施設(児玉郡美里町、円良田地区)での稼動状況を確認に訪れたというコンパクトタイプの生物脱臭装置(三協工業(株)「バイオディスクー10」)もその1つ。また、処理施設とマンホールポンプ施設3ヵ所の稼動状況・警報が、インターネット網(NTTドコモ・DoPa網)を経由して担当者らが常備する携帯電話に無線連絡される、低コスト型の監視制御システムも構築され、装置本体が処理施設内に設置されている(小松電機産業梶uパッケージ水神」)。
 さらに、太田上地区ではJARUS-XIV型施設による通常の処理に加え、同じく集排施設では前例のない手法による3次処理が行われている。消毒槽の手前に別の反応槽を設け、その中に硫黄と炭酸カルシウムを主成分とする礫状のブロックを充填。ここに処理水を1〜2時間滞留(通水)させるだけで、処理水中の窒素は限りなくゼロに近づき、同時にある程度のリン酸の除去もできるという、この特殊な資材は、地元・秩父を拠点とする潟jッチツ(本社:東京都千代田区、資源開発本部:秩父郡大滝村)が開発した製品「脱窒材SC」。黄色味を帯びたブロックの表面に棲息する硫黄酸化細菌が、硝酸性窒素から酸素を奪って窒素ガスに変えると同時に、生成された硫酸は炭酸カルシウムと反応して中和・無害化される仕組みだ。市としても、地場産業の活性化に繋がるこの手法を「秩父方式」として広く普及させていきたい意向であり、先駆的に採用を決めたという。ちなみに、この反応槽の躯体部分は国庫補助で整備されたが、脱窒材(約30t)は市単費で購入したもの。
 担当者が「荒川上流自治体としての使命を果たしたい」と言うように、こうして手厚い処理が施された放流水は、処理施設のすぐ下流側にある皆野吋の浄水場取水口を避ける形で架設された放流管を下り、赤平川を経由して荒川から東京湾に流れ込んでいる。