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株式会社アースクリーン


2001年Vol.43 No.10 用水と廃水 

ディスポーザ排水・汚物一体処理システム
小川 弘*



1.はじめに

 国内では現在,排出される可燃物・生ごみおよび下水汚泥・汚物は,ほとんどが焼却一埋立によって処理されている。これらの処理方法ではダイオキシンを含む大気・土壌汚染・廃熱の問題,埋立による2次公害の発生など,多くの問題を抱えている。またダイオキシンについては2001年WHO(世界保健機関)においてTDI(1日耐容摂取量)を現行の1〜4pg/s-体重を1pg/s-体重にする方針が示された。現在,国内基準では4pg/s-体重を採用しているが,近い将来にはWHOに追従せざる得ない状況となり,焼却施設の大型化・広域化が進み建設コスト・処理コスト,またごみの収集運搬コストが増大し,ますます国民負担が重くなっていくだろう。

2.生ごみ焼却処理の問題点

 そろそろ国内でも焼却に頼らない処理を模索していく必要がある。そもそも含水率80%以上の生ごみを他の可燃物と混合して高温で焼却するにも無理がある。最新の焼却方法では,その生ごみの水分を飛ばすために多くの補助燃料等を使い,その後に熱分解をした後,残渣を減容するために溶融等を行なうようになってきた。ここで含水率の高い生ごみ等がなければどうだろう。簡単に高温燃焼もでき,焼却炉の作りも単純になるはずである。事例としてはアメリカ・マサチューセッツ州ロチェスターSEMASSのごみ発電プラントでは,ごみでの発熱量も1t当たり600kWのエネルギー回収を行なっているようである。分別さえ行なえば,このように資源を有効に使うことができる。また規模を小さく高温焼却用の廃プラスチック,廃油,紙屑などのボイラー型にすることで多くの問題も解決される。

3.生ごみの堆肥化の失敗

 生ごみを堆肥にしてリサイクルしてはどうかというと,以前には国内各所および東京都でも行なわれており,また現在多くの企業が生ごみの小型堆肥化処理機を開発,販売し始めているが,都市部では分別,コスト,場所,臭気組成,後処理などの解決すべき問題も多く,うまくいっている例は少ないようである。すなわち従来からの畜ふん,食品工場関係は別として,都市部から大量に排出される一般生ごみの堆肥化は難しいということのようである。

4.当社の提案

 そこで当社ではもっとわかりやすく,誰からみても単純・合理的で環境にやさしく,低コストで既設の建物・施設への導入が容易な大規模施設にも対応のできるディスポーザを利用した当社考案のアースクリーンシステムを提案する。当システム導入により一般廃棄物処理の大幅な削減と同時に資源物,とくにごみ量の多い紙類・ビニール類の分別が容易となりリサイクルしゃすくなる。

5.ディスポーザ処理について

 環境に厳しいアメリカ(とくにダイオキシンについてはTDIがO.01pg/kg-体重であり日本の1/400)では,ほとんどの州でディスポーザ設置を法令で義務付けされており(下水処理),日本のような生ごみの収集運搬・焼却処理コストに比べ,処理コストが1/40程度であるというアメリカ・ウィスコンシン州のマディソン大学で行なわれた研究結果が発表されている。ただしアメリカと日本では国土の違いもあり,このままアメリカ式ディスポーザシステム採用する訳にもいかない。
そこで国内でもディスポーザ排水処理システムが平成6年から建設省(現国土交通省)を中心に多くの企業(とくに浄化槽メーカーが多い)において,排水処理に重点を置いて研究されてきた。現段階ではディスポーザと専用浄化槽システムで構築され,新しいマンションや給食センターに少しずつ採用されているようである(図1)。  しかし,下水道完備地区に専用浄化槽を設置しても,ディスポーザによる粉砕生ごみは,ほとんどが汚泥となることから,専用浄化槽・ディスポーザの設置および汚泥処理にコストがかかることとなる。また,汚泥処理についていえば,汚泥は自治体によっては産業廃棄物扱いとなるため,海洋投棄や埋立処理ができない現状では,焼却処理に頼らざるを得ない。以上のことから,ディスポーザと専用浄化槽による排水処理システムは,従来の生ごみ処理となんら変わらないどころか,設置コスト等を考えると,現状では有効なシステムであるとはいい難い。また生活雑排水・汚水はそのまま放流されるため,下水道汚泥も減らずに,負荷もなんら低減していない。

6.アースクリーンシステムについて

 本システムは,ディスポーザ・前処理・有機物処理機の3つの組合わせで構成されており,非常に理解のしゃすいシステムである。簡単に説明すると,一般のディスポーザを通常の使い方で通常の雑排水管等に流すもので,汚水管等に合流した後に,そのなかから微細な固形分・粉砕生ごみ・毛髪・汚物中の未消化分までを回収し,分解消滅処理(液肥化)し,排水処理負荷を減らして排水処理施設に送るシステムである。当然,汚泥の成分は大幅に減り,処理機の排水は液肥としても使用できる,また下水道に放流もでき,分解水は分解菌等も多く含まれているので排水処理にもよい影響を与える。以下,システムの構成部品について説明する(図2,3)。

(1)ディスポーザについて
 ディスポーザは現在,国内でも何社かが作り始めているようだが,浄化槽用に設計されており非常に粒子が細かく,本システムには向いていない。また粒子が細かいと排水管に与える影響も,現時点では実績もないため,わからない。そこで歴史があり,現在約2万台/d生産されているアメリカ製のハンマークラッシャータイプを日本仕様にし採用している。これら製品はパワーがあり,粒子もご飯粒大を壊さない程度の大きさで本システムには非常に向いている。また,アメリカでは70年以上の歴史中でいろいろな点で工夫がみられる。とくに粒子の大きさだが,アメリカでも粉砕生ごみは下水道において処理をしているため,粒子は細かいほうがいいはずだが,あえて荒く破砕するのは,排水管に与える影響が非常に少なく(排水管が詰まりにくい)排水を汚さないためである。コスト面でも,荒破砕のため処理時間も早く消費電力の割には使用時間が少ないためにランニングコストも少なく済む。
 また余談であるが,ディスポーザというとなんでも破砕できると思われがちだが,実は当社が採用している物は金属類やビニール類・プラスチック類も破砕せずに残ってしま`したがって残った物を取り出すのが嫌なため,使う人がすぐに分別の習慣がつくようになる。
(2)排水管について
本システムではディスポーザ専用配管の必要がなく通常の配管(HASS206-1991および昭和53年建設省告示第1597号第3の三)に基づいて施工されている物ならどんなところでも対応できる(通常の排水管の使用が容易である)。排水管を通ってきた有機物は,全部の配管(厨房排水・生活雑排水`汚水)が集合したますからポンプアップされ本システムの前処理部分に搬送される。
(3)前処理について
 前処理部分は建設省の構造基準にも適合の自動微細目スクリーンを有機物の捕捉用に改造し採用している。したがって多量の排水処理量にも対応することができる。また1mm目のスクリーンを使うことにより,未消化分の汚物や毛髪まで回収することにより,流入汚水量,BODを約3割減らし(表1),汚泥成分の非常に少ない状態で排水処理施設に送る。

表1ディスポーザー設置前後における流入汚水量とBOD
計画値1999年2月1999年5月1999年8月1999年11月2000年2月
流入汚水量(m3/d)103.091.090.9103.2104.998.9
流水量BOD (mg/l)200.0142.5184.0147.0184.0254.0
※2000年2月はスクリーン停止
デ一タは(財)日本環境整備教育センターの実験チータより抜粋


(4)分解消滅機について
 現在,本システムでは有機物分解液肥化装置を採用している。同装置の概要は,有機物の水を切った状態で好気性菌により水と炭酸ガスなどに分解処理される(そもそも浄化槽で水中で好気性菌を使うことには無理があり,好気性処理する物は空気中で処理したほうが効率がよく非常に素直である)。この分解水については液肥でも下水道放流にでも対応できる物である。
 最近,食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)の施行もあり,生ごみ処理機の開発メーカーは急速に増えているが,反対に商品にならず,事業を撤退するところも多い。理論は皆同様で,微生物による発酵堆肥化または分解処理であり,さほど難しいとは思えないが,トータルに処理,前処理を考えないと処理は不可能であり,排水処理と同様に奥が深いものである。
 当社の処理機では,研究の結果必要電気容量も最小限に抑えることができ,500s/d処理機で消費電力は最大で3kW程度に抑え,大変な省電力設計(大手電機メーカーS社製100s/d処理機では約7kW)となっている。発酵分解菌についても納入先の500s/d処理機においてごみの種類によって,菌の種類を変え発酵温度,分解時間を変えることができる。またゴルフ場の刈り芝の処理についても多くのところが焼却,埋立もできずに困っているようだが,刈り芝も十分な分解消滅できることを某ゴルフ場で確認し,専用のシステムを考案しているところである。また最近の納入事例では,政府調達の納入先である防衛大学校(横須賀市):約6,000食/d,標準生ごみ量500s/d,同じくホテル鐘山苑(山梨県富士吉田市)週末,約5,OOO食/d,標準生ごみ量500kg/dの処理機システムを納めている。他に集落排水施設・分譲住宅団地・マンションなどに納入が決まっている(図4)。
7.環境負荷について

(1)設置コスト
 家庭用については,ディスポーザの購入で安価な物から高級な物まで選択が可能である。現在,アメリカの製造メーカーでは約2万台/d程度製造している。価格は,約6〜18万円程度である。配管は通常で,最後にポンプ水槽の設置をする(なくすことも容易)δ処理システムは100世帯用で標準1,400万円程度である。
(2)ランニングコスト(100世帯のマンション)
一般家庭で電気代,使用水代ともで40〜80円/month程度で,ごみ置きスペース,臭い,捨てにい<労力煩雑さ,精神的な負担から解放され衛生的な環境を創る。行政面では従来のごみ回収コストが従来の半分以下にできる。なぜならば,腐敗物がなくなることと量が半減するため,回収頻度を半分以下にできるからである。
 また可燃物の焼却コストを減らし,可燃物は発電用の燃料となり,売電により収入が得られる(アメリカごみ発電プラントSEMASSの事例によると2,700t/dのごみ処理,発電能力8万5,OOOkW,燃焼温度1,200〜1,300℃以上と安定している。)。
(3)環境基準,公害について
 生ごみ処理機の環境負荷については,生態系における植物循環の範囲で収支がゼロに近い。有機物が微生物の働きで水と空気に分解される。理論は水の浄化と同じである。したがって,特別な多くのエネルギーを使うわけではなく,ダイオキシン等の公害を発生させることもない。このことは,大気汚染の減少,土壌,河川,海洋の浄化,地球環境の蘇生へと続く。
(4)システムの将来性
 終末下水処理施設・排水浄化施設の負荷を大幅に軽減できることであり,たとえば既存の下水道ポンプ中継所に設置することにより,容易に一般戸建て住宅にもディスポーザ対応ができるシステムである。
8.まとめ

 本システムは,日本の考えた世界の環境に対する考えに合致した,省エネ,合理的で,文化的なリサイクルシステムであり,低コストであらゆる面から検討しても欠点が見当たらないことがわかると思う。
 地球規模での自然生態系,循環の考えをもち,環境を破壊しないように,物の生産から消費までを考え直し,近年の人類の侵した負の遺産を早く取り除き,発想を変えて改善して,豊かな環境を蘇生していくことを考えたい。